スワンプアッシュ
Swamp Ash湿地帯に育ったアッシュ(トネリコ)から取れる、軽く目の粗い材の通称。ストラト誕生期のボディ標準材で、アルダーへ移行した後も木目を見せるブロンド系の仕上げでは使われ続けた。乾いた低域と伸びる高域が語られる。

Guitar Tone Museum — Permanent Collection
Fender StratocasterTelecaster / Les Paul — 収蔵準備中
館内で説明なしに使っている言葉をまとめています。57件。
湿地帯に育ったアッシュ(トネリコ)から取れる、軽く目の粗い材の通称。ストラト誕生期のボディ標準材で、アルダーへ移行した後も木目を見せるブロンド系の仕上げでは使われ続けた。乾いた低域と伸びる高域が語られる。
北米産の広葉樹で、1956年半ば以降のストラトの標準ボディ材とされる。在庫を使い切りながらの移行のため'56年製はアッシュと混在し、'57年に入ってからのアッシュ個体もある。中域に芯のあるバランス型と語られ、木目が目立たないため塗り潰しと相性が良く、カスタムカラー期を支えた。
北部の寒冷地で育ったアッシュ。同じ樹種でも年輪が詰まって重く硬いとされ、市場ではスワンプアッシュと対で語られる。70年代は木目を見せるナチュラル仕上げの流行とともに重いアッシュが多く使われ、本体重量が4kgを超える個体も珍しくない。ただしアルダーも併用され続けたため、同じ70年代でも材と重量のばらつきは大きい。硬質な高域と、深く凹む中域が語られる。
硬く目の詰まった材で、フェンダーのネックはヴィンテージ期を通じてメイプル。指板材としても使われ、立ち上がりが速く明るい音と語られる。杢(もく)の出た個体は「フレイム」「バーズアイ」と呼ばれて珍重されるが、これは見た目の呼び名である。
ハカランダとも呼ばれる銘木で、ローズ指板期の初期に使われたとされる。その後インディアンローズウッドが主流になるが、切り替えの時期には諸説ある。1992年からワシントン条約(CITES)附属書Iに掲載されており、国境をまたぐ売買には書類が必要になる。海外から買う際は特に注意したい。
指板の裏を平らなまま貼る、初期のローズ指板の作り方。ネック側も平らに削るため、横から見ると接着線がまっすぐ一直線に走る。1959年半ばから1962年頃までの特徴で、指板材が厚い分だけ甘く太い響きになると語られる。
1962年頃から採用されたローズ指板の作り方。ネックの指板R(丸み)に沿って指板の裏側も湾曲させ、薄く貼る。横から見ると接着線が弓なりに見えるのが見分け方。ここでの「ベニヤ」は合板ではなく「薄板」の意味である。
指板を貼らず、ネック材のメイプルに直接フレットを打った作り。1954年の誕生から1959年半ばまでの標準。'70〜'71年頃にトラスロッドの仕込み方が背面へ戻ったとされ、70年代には再び標準的な仕様になる。トラスロッドは背面から溝を掘って入れるため、裏にスカンクストライプが走る。
メイプルのネックにメイプルの指板を貼ったもの。1967年頃にオプションとして復活したとされ、ヘンドリックスの1968年製が広く知られる。トラスロッドを表から入れて指板で蓋をするため、背面にスカンクストライプが無いのが見分け方になる。ただし'70〜'71年頃に仕込み方が背面へ戻り、以降のメイプル指板には再び筋が入るとされるため、70年代の個体には当てはまらない。
ネック背面に一本走る、細い濃色の木の帯。背面から掘ったトラスロッドの溝を埋めた跡で、通常はウォルナット。ヘッド裏の丸い埋め木(ウォルナットプラグ)とセットで現れる。
ネックの中に仕込まれた金属の棒。ナットを締めて弦の張力に抗い、順反りを補正する。ヴィンテージ期のフェンダーは一方向にしか効かない単動式で、1971年より前は調整ナットがヒール側にあり、回すにはネックを緩めるか外す必要があった。締め切っているのに順反りが残る個体は、その後の調整余地が無い。
ネックポケットに挟んで仕込み角を変える薄いスペーサー。サドルの高さ位置に無理が出たときの調整手段で、当時から紙や木片が入った個体が知られる。1971年のマイクロティルトは、この作業をネジで代替する機構だった。
ネックをボディに留めるネジの本数。1954年から1971年の変更までは4本、1971年に3本+マイクロティルトへ変わり、1981年に4本へ戻る。3ボルトはネックのぐらつきを指摘されて評判を落としたが、原因はネジの本数そのものよりネックポケットの加工精度にあったとする見方も強い。
3ボルト化と同時に導入された、ネックの仕込み角をネジで微調整する機構。ジョイントプレートの穴から六角レンチを差し込み、ポケット内のイモネジを押し出して角度を変える。ネックを外さずに弦高のバランスを詰められる合理化策だった。
ボディ裏の腹側と、右腕が当たる表側の縁を削り落とした加工。テレキャスターには無く、1954年のストラトが「体に沿うギター」と呼ばれた理由である。削り込みの量や形は年代・個体で差がある。
ネックの断面の形。太い「Uシェイプ」、稜線のある「Vシェイプ」、平たい「Dシェイプ」といった通称で呼ばれる。50年代半ばのVシェイプのように年式ごとの傾向は語られるが、当時は最終的な削りが手作業で個体差が大きく、年式だけで形が決まるわけではない。
指板の丸みを、その曲面を含む円の半径で表したもの。ヴィンテージ期のフェンダーは7.25インチ(約184mm)というきついRで、握り込むコードは押さえやすい反面、弦高を下げるとチョーキングで音が詰まりやすい。現行機は9.5インチ以上の緩いRが主流のため、初めて触ると違いに戸惑いやすい。
1964年頃までのローズ指板に使われた、艶のない土色のポジションマーク。粘土状の素材と言われてこの名があるが、実際の組成には諸説ある。後継のパーロイドとは光り方がはっきり違うため、年代を見分ける手がかりになる。
貝ではなく、樹脂で真珠光沢を再現した人工素材。1964年から1965年頃にクレイドットに代わってポジションマークに使われるようになった。白蝶貝調の光沢が特徴で、見る角度によって虹色に光る。経年で色味が変わる。
ヘッドストックの大きさ。1965年末から1966年頃にかけて大型化し(ラージヘッド)、80年代初頭に再び小型へ戻る。写真からでもCBS期を一目で見分けられる目印で、70年代の意匠として今も根強い人気がある。移行の時期は個体によって前後する。
1964年頃までヘッドに貼られていた、細い線で描かれた金色の筆記体ロゴ。麺のような細さからこう呼ばれる。プリCBS期の象徴で、リイシューでもこのロゴを採用しているかどうかが再現年代の目印になる。
1964年頃から使われた、太めの金文字に黒い縁取りが付いたロゴ。名前のとおり過渡期のロゴだが、CBSによる買収(1965年1月)より前に登場しているため、これが付いている=CBS期とは限らない。
1968年頃から使われたとされる、太い黒のロゴ。通称ブラックロゴ。ただし「CBSロゴ」は市場での通称であり、書き手によってトランジションロゴまで含めて呼ぶ場合があるため、文脈で確認したい。
ピックアップの磁石に使うアルミ・ニッケル・コバルト系合金。番号は組成の違いで、アルニコ5は磁力が強く出力と高域の張りが出る、アルニコ3は磁力が穏やかで柔らかい、と一般に言われる(アルニコ3はコバルトをほとんど含まない)。最初期のストラトがアルニコ3だったかどうかには諸説ある。
ポリビニルフォルマール(Formvar)という被覆を巻いた銅線。エナメル線より被覆が厚く、1964〜65年頃までのフェンダーのピックアップに使われたとされる。被覆が厚い分だけコイルの巻き上がりが変わり、それが音の違いとして語られる。
1964〜65年頃から使われるようになったとされる、被覆の薄い銅線。同じ巻き数でもコイルが小さくまとまる。硬質でエッジの立った高域と結び付けて語られることが多いが、線材だけで音が決まるわけではない。
銅線の太さを表す規格で、数字が大きいほど細い。フェンダーのシングルコイルはヴィンテージ期を通じて42AWG(直径およそ0.063mm)が基本。この太さと巻き数の組み合わせがDCRの値を決める。
弦ごとにポールピースの高さを変えた仕様。巻弦のG弦や、Rのきつい指板による弦ごとの音量差を揃える意図があったとされ、3弦(G)が最も高い配列がよく知られる。'74年頃にフラットへ切り替わるまで使われた。高さの配列は年式・個体で違いがあり、現代の巻いていないG弦を張るとG弦だけ音量が出過ぎることがある。
ポールピースの高さを揃えた仕様で、1974年頃から標準になったとされる('73年説・'75年説もある)。弦ごとの音量バランスは平準化されるが、スタッガード特有の音量の起伏は無くなる。どちらが優れているというより、狙いが違う。
コイルに直流を流したときの抵抗値で、単位はkΩ。線の細さと巻き数で決まるため、コイルの規模の目安として使われる。ただし出力そのものを表す値ではなく、測るときの温度でも数値が動くので、絶対的な指標として扱うべきではない。
ボビンの底板が灰色の繊維板になっているピックアップ。それ以前は黒で、切り替えは1964年頃とする説と1965〜66年頃とする説があり定まらない。70年代まで続いたとされるが、終期には諸説ある。ピックガードを開けないと見えず、交換やリワインドを受けた個体も多いため、年代判別では補助的な材料にとどめたい。
コイルを巻くとき、線を送る動きを人の手で行う巻き方。線がきれいに整列せずばらけるため「スキャッターワインド」とも呼ばれる。手作業ゆえに個体差が大きく、それが最初期の魅力として語られる。CBS期以降は工程の機械化が進んだとされる。
隣り合う2つのピックアップを同時に鳴らしたときの、中域が凹んだ音。5ウェイスイッチが標準になる1977年より前は、3ウェイスイッチを中間で止める裏技だった。「クワック」とも呼ばれ、カッティングで多用される。
1954年のストラトが搭載した、ブリッジとテールピースを一体化したアーム機構。裏のスプリングと弦の張力を釣り合わせ、アームで音程を揺らす。厳密には音程が揺れるのだからビブラートだが、フェンダーが「トレモロ」と呼んだためこの名が定着した。
トレモロのブリッジ裏に吊り下がる金属の塊で、弦のボールエンドを受け止める部品。質量と材質でサステインや倍音の出方が変わると語られる。1954年から'71年前後まではスチール、以降はダイキャストが標準になったとされるが、切り替えの時期には個体による振れがある。スチールへの交換は今も定番のモッド。
溶かした金属を金型に流し込んで成形する鋳造方法。ギターでは亜鉛合金(通称マザック)を指すことが多い。スチールより軽く柔らかく、安価に量産できるため、CBS後期の合理化を象徴するパーツとして語られる。
金属板を打ち抜いて曲げた、板状の弦受け。1954年から70年代を通じてストラトの標準で、側面に刻印が入る(刻印の文言は時期によって変わる)。後年主流になるブロック状の削り出しサドルとは形も響きも異なるとされる。
1971年頃から採用された、ヘッド側に露出する弾丸型のトラスロッド調整ナット。ネックを外さずに反りを調整できる。ラージヘッドと並ぶ70年代の目印で、80年代初頭に姿を消す。
ヴィンテージ期のフェンダーが使った、溶剤で溶かして吹き付ける塗料。膜が薄く仕上がり、経年で黄変・退色し、ひび(ウェザーチェック)が入る。「薄い塗膜のほうが木が鳴る」と語られるが、塗装の厚みと音の関係は数値で示しにくい領域である。
合成樹脂系の塗料。ニトロより硬く厚い膜になり、傷や紫外線に強く、乾燥が速いため量産に向く。フェンダーでは1968年頃から移行したとされるが、下地だけポリで上塗りはラッカーといった過渡的な個体もあり、完全な厚膜になるのは'70年前後という見方もある。年式だけでは決まらない。
ニトロ塗装の表面に入る、細かなひび割れ。塗膜と木材の伸縮率の差から、寒暖差や長い年月で生じる。ヴィンテージらしさの象徴として好まれ、レリック加工では人工的に再現される。
中心が明るく、外周へ向かって暗くなる塗装。誕生から1958年頃までは黒と黄の2色(2トーン)で、以降は赤を加えた3トーンになる。移行の時期は資料により1958年半ば〜1959年と幅がある。初期の3トーンに使われた赤は紫外線に弱く、褪せて2トーンのように見える個体もある。
サンバースト以外の色。もとは自動車用塗料からの流用で、50年代から特注に応じた例が知られ、1960年前後に正式なオプションとして価格表に載る。1961年には色見本のチャートも作られ、フィエスタレッドやレイクプラシッドブルーなどが人気を集めた。現存数の少なさから相場は別格で、退色した個体もその褪せ方ごと評価される。
新品を意図的に使い込んだ風合いに仕上げる加工と、その度合いの呼び名。フェンダーのカスタムショップでは、無傷の「NOS」、軽い経年の「クローゼットクラシック」、傷や塗装剥がれまで再現した「レリック」と段階が分かれる。あくまで見た目の再現であり、経年そのものを再現するものではない。
最初期のストラトの澄んだ高域を指して使われる形容で、鐘のような響きという意味。特定の測定値に対応する言葉ではなく、そう呼ばれてきたという事実として受け取るのが正しい。ピックアップや材の違いを語るときの共通語として定着している。
長く弾き込まれた個体の、角が取れて馴染んだ響きを指す言い方。木材の乾燥や塗膜の硬化が理由として挙げられるが、音の変化として測定で裏付けられたものではない。リイシューと本物のヴィンテージの差を語るとき、最もよく持ち出される言葉でもある。
基音の整数倍の高さで一緒に鳴っている成分。同じ高さの音でも楽器ごとに違って聞こえるのは、この含まれ方が違うため。「倍音が豊か」とは、高い成分が多く含まれて響きが華やかに聞こえることを指す。
音の大きさの比を表す単位。当館のグラフは絶対的な音量ではなく、基準からの増減を示す相対dBで、+側はその帯域が強く出ることを意味する。数値は実測ではなく、語られてきた音の傾向を9つの帯域に置き直した目安である。
CBSによる買収(1965年1月)より前に作られた個体の総称。品質と評価の分水嶺として語られ、相場もここではっきり分かれる。ただし仕様変更は買収の前後で段階的に進んでおり、ある日を境に音が変わったわけではない。
オリジナルの塗装を剥がして塗り直した個体。ヴィンテージとしての評価は大きく下がり、相場も別物になる。裏を返せば、当時の塗装が残っていることが価格の大部分を占めているということでもある。弾くための一本として割り切るなら、狙い目になる場合もある。
複数の個体やパーツを組み合わせて1本に仕立てたもの。海外では「パーツキャスター」と呼ばれる。相場より安く見えても、ネック・ボディ・パーツの年式が揃っていない可能性があるため、購入前に各部の年代を確かめたい。年式の混在自体は珍しくなく、それを承知で選ぶなら問題はない。
出荷当時のパーツと塗装がそのまま残っている個体。ヴィンテージ市場では最上位の評価で、ピックアップやポットの交換ひとつで扱いが変わる。ただし完全な証明は難しく、表記を鵜呑みにはできない。
真贋や仕様を示す証明書。カスタムショップの製品には付属し、仕様やビルダーが記載される。ヴィンテージの場合はメーカーではなく専門店や鑑定人が発行するため、書類の重みは発行元次第である。
ネックの根元(ヒール)に記された製造日。1950年代から'62年頃までは鉛筆の手書き、その後はゴム印のスタンプが一般的とされる(併記されるA/B/C/Dの記号はナット幅を示す)。1962年頃から'64年頃には日付を省いた個体が多いと言われるが、この期間の区切りには諸説あり、退色やサンディングでも消えるため「無いこと」自体は年代の根拠にならない。シリアルより有力な手がかりだが、ネックごと入れ替わっている個体もあり、確認にはネックを外す必要がある。
ポット(ボリューム/トーンの可変抵抗器)の側面に打たれた、製造元と製造年週のコード。頭の3桁が製造元を示し、137ならCTS、304ならスタックポール。ポットは最も交換されやすい部品でもあるため、「これ以降に組まれた」という下限を示すものとして扱う。
ネックプレート等に打たれた通し番号。ヴィンテージ期のフェンダーは全モデル共通の連番で、プレートは箱から無作為に取り付けられたため、同じ番号帯に2〜4年分の個体が混ざる。1976年頃にヘッドストックのデカール表記へ移った。年の特定ではなく、年代の推定に使うものである。
過去の年代の仕様を再現した現行/近年の製品。カスタムショップからスクワイアまで価格帯は幅広く、再現の深さもそれぞれ異なる。実物のヴィンテージと違って新品で買え、個体差も小さく、価格も比べものにならない。