Tone Museum — Permanent Collection

Fender Stratocaster ストラトキャスター 仕様変遷と実機アーカイブ 1954–1981

Collection — 収蔵モデル

Fender StratocasterTelecaster — 次の調査対象

No.10 — EDITORIAL POLICY

編集方針|出典・推定・実測の扱い

この館の数値と記述が、どこから来ているか。性質の違う3種類が混ざっているので、混ぜたまま「参考程度に」と断らず、分けて名乗ります。確かなところと確かでないところの区別を、そのままお渡しするためです。

トーン根拠

TONE MODEL

帯域カーブの数値が、どこから来ているか。

係数を足しただけのもの

帯域カーブは代表仕様から導く推定ビューです。素の傾向・ボディ材・指板・ブリッジ・ピックアップ・塗装・工法・回路の8項を、9つの周波数帯(60Hz〜8kHz)で足し合わせ、±6dBに収めます。計算に必要な仕様が確定しない場合は、単一のカーブを確定値のように出しません。

係数の値に一次資料はありません

「アルダーは中域に芯がある」「スワンプアッシュは中域が軽く凹む」——流通と修理と演奏の現場で共有されてきた言い方を、数値に置き換えたものが係数です。測定して決めた値ではなく、文献で確定した値でもありません。同じ通説を別の人が係数化すれば、別の数字になります。

数値にしているのは、構造があるからです

「HIGHはかなり強め」と書けば断定を避けられますが、そう書いた瞬間に、8つの係数を足しているという事実が読み手から見えなくなります。数値であることは精度の主張ではなく、どの要素が効いているかを分解して見せられるという構造の側の主張です。ボディ材や指板を差し替えるとカーブが動くのは、その構造がそのまま操作できるからです。

dB を使う理由

独自の指数にすれば「測定値に見える」問題は避けられますが、代わりに読み手が意味を掴めなくなります。dBはイコライザで日常的に触れている単位で、「3kHzが+1.5dB」は手元のアンプで再現できます。読み替えの利く単位であることを優先しました。

入っていないもの

個体差、経年、弦、アンプ、弾き手。同じ代表仕様を入力すれば同じ推定になり、実在する2本の差は表せません。木の鳴りやネックの弾き心地のように、帯域では表せない差もあります。実機音声は個体と収録条件を持つ別の一次資料として記録します。

史実確度

HISTORICAL CERTAINTY

年と仕様変更を、どこまで確定できるか。

「切り替え日」は存在しません

ヴィンテージFenderの仕様変更に、社内文書に裏付けられた切り替え日はほとんど残っていません。既存の部材を使い切ってから次へ移る運用だったため、移行は数か月から1年をかけて段階的に進み、過渡期の個体では新旧が混在します。年表の各項目が示しているのは、その年のおおよその位置だけです。

確度を3段階で自己申告しています

既存年表の「確実・おおよそ・諸説あり」は記述の確度です。仕様DBではこれとは別に、確定・移行中・資料不一致・未調査・該当なしを属性ごとに持ちます。資料をまだ確認していない状態と、確認したうえで説が割れている状態を分け、出典と解釈を辿れるようにします。

鑑定の年範囲を、意図して広く取っています

シリアル・ポットコード・物証から年を絞るとき、範囲を狭めれば当たったように見えますが、過渡期の正常な個体を「矛盾あり」と誤判定する害のほうが大きい。絞り込みの甘さより取りこぼしを避ける側に倒しています。2つの年の間の変更を抜き出すときに両端の年を含めるのも同じ理由です。

矛盾が出ないことは、本物である証明ではありません

鑑定の価値は年式を当てることより、証拠の食い違いを指摘することにあります。裏を返せば、よくできた組み替え個体は矛盾を出しません。高額な個体ほど、専門店・専門家の判断を仰ぐ価値があります。

実測

PROVENANCE

推定と実測を、混ぜずに共存させる。

Current — 現在の内訳

収蔵する全26項の係数のうち、実測0項・オーナー申告0項。実測はまだ1項もありません。だからいまの画面には出所の印が1つも出ていません。

すべての数値が出所を持っています

推定値・実測値・オーナー申告値の3種類で、各数値の由来を持たせています。印の付いていない数値はすべて推定です。推定側に印を付けないのは、「印が無い=推定」という読み方を成立させるためで、印が現れたときにそれが目立つようにするためでもあります。

実測が入っても、カーブは推定のままです

合成カーブは最も弱い項に丸めて名乗ります。8項のうち2項が実測になっても「推定合成値」のままです。係数の一部が実測になっても、係数の和が実測になるわけではないからです。実測された項は括弧内に名前で添えます(「n項中m項」と数では言いません——項ごとの寄与は一桁違うので、数で言うと合成値の精度が上がったように読まれます)。

実測値には、測り方を必ず併記します

測定者・サンプル数・中央値・標準偏差・測定手法。何をどう測ったのか分からない実測値は、推定値より危険です。あわせて、置き換える前の推定値も残します。館の推定がどれだけ当たっていたかを来館者が検証できることが、精度を偽装しないための最大の歯止めになります。

試聴は、年代の再現ではありません

実機で録音した音に「表示中のカーブ − その録音個体自身のカーブ」の差分だけをEQで当てています。絶対カーブを当てないのは、ニュートラルな音源が存在しないからです(どんなギターにもその個体の性格が焼き付いています)。「原音」に切り替えるとEQがゼロになり、加工前の録音がそのまま鳴ります。嘘のない原点をいつでも確かめられる状態にしてあります。

出典と仕様DB

SOURCE / EVIDENCE

資料が何を述べたかと、館がどう解釈したかを分ける。

複数資料から独自に再構成します

書籍や専門サイトの年表構造・分類・文章を移植しません。個々の事実を共通の仕様語彙へ分解し、複数資料を突き合わせ、説明文を独自に書きます。可能な限り当時のカタログ・価格表・取扱説明書・サービス資料・工場資料・写真・実物観測へ遡ります。メーカーが後年まとめた記事も、同時代の一次資料とは区別します。

Source と Evidence を分けます

Sourceには資料の種類・書誌情報・ページや節・発行日・参照日を記録します。Evidenceには裏付ける事実・館の解釈・根拠の強さを記録し、仕様変更や検算用スナップショットへ結びます。出典確認が済んでいない既存記述を、確認済みとして移行しません。

根拠へは正確なリンクを張ります

出典のリンクは該当資料・ページへ直接張り、根拠を追跡できるようにします。商品や試奏動画を探す検索リンクとは役割が異なります。資料が食い違う場合は不一致を残し、代表仕様の移行候補を勝手に1つへ絞りません。検算点も再構成結果を黙って上書きするためには使いません。

実在個体と収録

SPECIMEN / RECORDING

一般的な仕様と、この個体で観測した仕様を分ける。

観測は日時を持ちます

観測済み・観測したが判定できず・未観測・該当なしを区別し、方法と理由を残します。交換・調整後の観測は新しい記録として追加します。収録はその時点の観測セットを参照し、後の状態で過去の音声を説明し直しません。

準備中は実績に数えません

SPECIMEN 001は運営者所有のFender Custom Shop 1966 Stratocasterです。1966は復刻対象年で、製造年ではありません。観測・収録準備中の登録には、測定値・写真・録音や実施日を補完しません。Custom Shopの個体を1966年製ヴィンテージの代わりとして扱いません。

手続きの揺れを先に測ります

CAL・Measurement・Musicalのテイクを分け、001を大輔が同一プロトコルで別日に2回収録します。まずMeasurementを中心に手続き再現性を調べ、実測結果を基にProtocol v1.0を確定します。合格閾値や評価結果は先に作りません。演奏者は観測条件とし、将来の全収録で同じ人を必須にはしません。

借用個体は、測るが勝手に調整しません

DI・入力インピーダンス・プリセット・フォーマット・手順などの統制条件と、弦・PU高さ・セットアップ・重量などの観測条件を分けます。弦交換・部品脱着・工具を使う調整は所有者の許可を得て行います。取得できない値は理由を残します。

公開と編集独立性

PUBLICATION / RIGHTS

公開範囲を合意し、観測結果は観測されたまま記録する。

完全シリアルは公開データへ入れません

完全シリアルと公開マスクは別に管理します。完全値はクライアントのコード・公開API・静的HTMLへ含めません。写真もシリアルを復元できない公開用画像を用意し、原寸で確認したものだけを公開します。画面で隠すだけでは公開マスクと見なしません。

公開前確認と訂正

協力店舗・所有者は公開前に内容を確認でき、非公開を選べます。一方で、販売上の都合による観測値の書き換えには応じません。事実誤認や入力ミスはEvidenceを確認して訂正します。真贋・価値・相場や交換品と断定せず、代表仕様との差異を中立的に記述します。

公開個体には選択バイアスがあります

このアーカイブは、店舗・所有者から公開許諾を得られた個体の記録です。市場に存在するすべての個体を統計的に代表する標本集ではありません。許諾の得られやすさや公開拒否が収蔵内容に影響することを明示します。

公開条件と原盤管理を先に確認します

外部協力では収録・演奏・公開範囲と期間・クレジット・編集加工・再配布・商用利用・売却後と削除要請の扱い・原盤管理主体を事前に書面で定めます。運営者が制作・管理する原盤について必要な利用を許諾する形を基本とし、全面的な権利譲渡とは区別します。

収益化では協力条件を再協議します

無報酬・非営利前提の合意から、店舗による商用利用、館の収益化、広告、有料API、有料ライセンス、音源販売へ進む場合は条件を再協議します。ソースコード・構造化データ・写真・音声はそれぞれ利用条件を定め、コードの公開をメディアの自由利用許諾と扱いません。具体的な覚書は外部協力を始める前に必要に応じて専門家確認を行います。

しないこと

WE DON’T

できるのに、しないと決めたこと。

鑑定に販売の導線を置きません

手引き(購入)から鑑定へは進めますが、鑑定から店舗への送客はしていません。年式の判定に金銭的な利害を持ち込まないためです。判定結果から辿れるのは、その年代の展示だけです。

画面に無いものを構造化データにしません

レビュー・評価・FAQのように、実体が無くても検索結果を飾れる型は出していません。出しているのは、実際に描画しているもの(サイト自体・館内の階層・用語集の全語)だけです。

商品・試奏動画の案内は検索リンクにします

試奏動画や市場の商品を探す案内は検索結果ページへリンクします。個別の商品が削除・売約済みになっても探し直せるためです。Evidenceの出典は追跡可能性を優先して資料の該当ページへ直接リンクします。掲載個体と価格は各店舗によるもので、本館は販売に関与していません。

価格には確認した月を書きます

「執筆時点」では、読み手にそれがいつか分かりません。月まで名乗れば読み手が自分で判断でき、次に見直す側にも期限が生まれます。

分からないことを、分かったように書きません

移行年が確定できないものは年表に確度を添え、断定できない仕様は「〜とされる」と書きます。裏の取れない移行年は、そもそも収録しません。

誤りの指摘

CORRECTIONS

この館は非公認の個人プロジェクトで、収蔵内容は一人の編集を経ただけのものです。事実の誤り、係数の見立ての甘さ、実測データやオーナーズデータのご提供は、下の奥付にある窓口へお寄せください。訂正した箇所は、置き換える前の値を残したまま反映します。